2022年4月17日(日)・5月7日(土)、京都・下鴨でひとり暮らしをしている大学生の奏(かなで)さんが、借り暮らしの小さな戸建てのカーポートでたまにカフェを開催しました。越してきて約1ヶ月。「挨拶するのは両隣だけ」「普段はご近所さんとすれ違うことも少ないし出会うきっかけもない」状態だった彼女に、”たまにカフェ”は、どのような変化をもたらしたのでしょうか。

はじめての土地でも、屋台があれば笑顔で声をかけられる
学園祭のようなノリで小さな屋台を組み立てて、コーヒー豆を挽き丁寧に淹れる。通りかかった方に「コーヒーいかがですかぁ〜?」と声をかける。やがて小さな会話が生まれて、つながりが育まれていきます。
初回、店主の奏さんと一緒に屋台に立ってくれたのは、同級生のかあやさん。準備している間も、ふたりはなんとも楽しそうです。「大学の授業がすごく忙しいから、こんな風にのんびり友達と過ごせるだけでもすごく嬉しい」。普段はちょっぴり引っ込み思案なかあやさんも、屋台に立つと、とてもにこやかに、そして自然に、道行くご近所さんたちに声をかけています。
屋台に立ってコーヒーを淹れるだけで、いろんなものが返ってくる
ゲストの中には、「なんでこんなことしてるんですか?」「なんでタダなんですか?」と驚かれる方もいらっしゃいます。そんな時は、たまにカフェのカードを手渡して、簡単に主旨を説明します。すると、クスッと笑ってくださったり、腰を降ろしておしゃべりしてくださったり。自宅からお気に入りのコーヒー豆や、庭のお花を摘んで来てくださる方も。コーヒーを淹れるだけで、いろんなものが返ってくる。Giveから始まる、たまにカフェらしいあたたかな循環です。
結果的に、わずか3時間×2回の開催で20人近いご近所さんとの出会いが生まれ、15名近いみなさんと挨拶を交わせる関係になりました。
気づいたら、少しずつ街に馴染んでいた
奏さんにとってたまにカフェは、「普段関わる機会のない人たちと関われる」貴重な機会。「出会った近所のおじさんにコーヒーを淹れるのがうまいと褒められたりして、そんな些細なこともすごくうれしかった」と振り返ります。
何より大きかったのは、日常の暮らしの変化でした。
たまにカフェ初回の翌日のことでした。家を出るとご近所さんから「いってらっしゃい」と声をかけられ、自然と「いってきます」と応えていたそう。お隣の犬がときどき吠えるのも、以前なら「隣の犬が吠えるな」と思っていたのが、つながりができたことで「リリー、お腹でも空いたのかな」と気にかけるようになったそう。「気づいたら少しずつ街に馴染んで、ひとり暮らしの不安がなくなっていた気がする」と奏さんは語ります。
“たまに”よりひとこと
奏さんのたまにカフェは、奏さんがこの家に住む2年間に計5回開催されました。常連さんもいるけれど、毎回新たなゲストにも恵まれ、最後の方は、外で焼きそばを作ったり、七輪を囲んだりして楽しんだと言います。
お隣の小学生ヨウスケくんが、店主として小さな夏祭りをしてくれたこともありました。
引っ越してきたばかりでご近所さんとの関係はほぼゼロ──そんなゆかりのない土地であっても、たまにカフェを開けば驚くほど自然に(地元の方には多少”!?”という目で見られたかも知れませんが笑)人とのつながりが生まれます。奏さんとかあやさんの試みは、コーヒーを淹れて小さなカップで手渡す、たったそれだけの小さなきっかけが作れれば、地域と出会い人と交流す穏やかであたたかな場を、誰でもきっとつくれるのだということを教えてくれました。
奏さん、かあやさん、そして、立ち寄ってくださった地域のみなさん、本当にありがとうございました!
開催概要
- 日時:2022年4月17日(日)・5月7日(土)
- 場所:下鴨の自宅前(京都府京都市)
- 店主:奏さん、かあやさん
- 来場者数:のべ約40名
文:佐竹 麗





