コンフォートゾーンから一歩踏み出す勇気を持つこと
−Hofficeをやってみた−

たまにまで ルコ編その1」で少しだけ書いたが、人に会えなくなりつつあった2020年春ごろ、Hofficeというものをオンラインで始めた。

Hofficeというのは「Home」と「Office」を融合させた造語で、自宅をオフィスとして開放するという取り組みだ。使われていないスペースや空いているプリンタなどを「使われていない資源」と捉えて他者に提供するという「ギフト経済」的な視点を持つ。

いくつかルールがあって、代表的なものは45分間仕事をしたら15分間全員で休憩すること、休憩時間はメンバーのスキルを活かしたアクティビティをすることなどである。

(参考記事:「自宅を"オフィス"として開放するスウェーデン発の働き方「Hoffice」」)

発祥はスウェーデンだが、世界中で広まっているらしい。とはいえ情報が2017年ごろで止まっているので、現在どうなっているかは不明だ。こんな時期だし廃れている可能性もある。

自宅で実現させてみたいと思ったが、そんなことを考えているうちにコロナになってしまったので、結局zoomを使ってオンラインで実施することにした。その時のことは別の場所で書いているので詳細は省くとして、結論からいうととても楽しい時間をもつことができた。

その後オンラインでは何度も実施していて、zoomだけでなくdiscordやclubhouseでも試みた。結局一番手軽で便利なのはzoomだというところに落ち着いており、本家Hofficeとは様態が異なってきていることもあるため、「オンラインco-being」と名前を変えて今も実施している(もちろん、リアルco-beingもある)。

Hofficeが面白いなと思ったのはstrangerを受け入れるという点だ。Facebookで開催連絡をしたら、あとは誰が来るかわからない。普通に考えるとリスクがある仕組みだが、Hoffice本家のサイトではこの取り組みは信頼が全てであるとし、「Open up your home to strangers」と語っている。

オープンであることには勇気を伴う。いわゆるコンフォートゾーンの話ではなく、ストレッチゾーン(ラーニングゾーン)に踏み出した状態だ。

意外に思われる方もいるかもしれないが基本的に私は人見知りだ。見知らぬ人との会話に耐えうる社交性は、後から獲得したもの。我が家を他人に開放するのは抵抗があるし、年に数回あるガスや火災報知器の点検なども大層ストレスに感じる。それでも開くのは、ストレスを上回るメリットがある(あった)からだ。オンラインとはいえHofficeを開催することももちろん勇気が必要だったが、思いがけない人との対話や、友人同士の結びつきに発展したことは「次もやろう」と思える収穫だった。

さて、"たまに"の活動は「気が向いたときに気が向いた人が自分にとっても誰かにとっても「ちょっといいこと」をしやすくするしくみを作る」としている。「いいこと」の定義は難しいが、もしそれが起きるならば、けして自分にとってコンフォートゾーンの内側で完結するゆるふわなことではなく、一歩ストレッチゾーンに踏み出した状態で起きると私は考えている。

それをしやすくすること、勇気を出せるようにすること、それほど大きな決意や覚悟がなくても行動に移せるようにすることが、"たまに"が実現するべきことだと考えている。

Open up your mind to strangers when you feel like it.

文:真鍋薫子
イラスト:斉藤重之