11月21、28日両日で開催したワークショップ『マステアートでどデカいハートを描こう!』は、予想以上に多くの方たちが参加してくだり、にぎやかで穏やかで、充実した二日間となりました。すっかり遅くなってしまいましたが、レポートをしたためましたので、お時間ある方はぜひお読みいただけるとうれしいです。
ワークショップの舞台は、"たまに"のオフィスでもある代表佐竹の自宅の外壁@東京都文京区。ファシリテーションをしつつ作品を仕上げていくのは、ハートをモチーフに活動を続けていらっしゃるアーティストの西村公一さん。参加者は、通りすがりの方から遠方から足をお運びくださった方まで、延べ約70名 (1日目 23名、2日目45名)。その他、7名の方がサポートメンバーとして運営に加わり、たまにチームをパワフルに支えてくださいました。当日会場まで足を運んでくださったすべての皆様に、あらためて、心より感謝申し上げます。
ワークショップ当日の様子
まずは、2日間の様子をサポートメンバーのかなでがコンパクトな動画にまとめてくれましたので、3分少々お時間がおありでしたらぜひご覧ください(機材入手のタイミングの関係で、Day1午後からの映像になっています)。
初日、鳶職のご経験も豊富という西村さんは、自ら足場を組み、一筋のマスキングテープですーっと美しいハートを描いていきます。しばらくすると、看板や屋台、足場の存在に気がついて、遊びに来てくださる方がちらほらと出始めます。いらしたみなさんには、大きなダンボール板にクッキングシートを貼り付けた、言うなればマスキングテープ用のキャンバスの上に、マスキングテープを自由に使い思い思いの作品を描いていただきました。
上の写真は一日目の様子。西村さんが描いたハートのラインの内側が、徐々に、マスキングテープが織りなす多様な模様で埋め尽くされていきます。
初日はおよそ4時間、2日目は5時間超、計約10時間に及ぶ作業の中、西村さんは、参加者が描き出すすべての作品を受け止め、紡ぎ合わせて、ひとつの作品に仕上げてくださいました。あたたかで笑顔に満ちているけれど、どこかジャズセッションのような緊張感や高揚感のある、濃密で心躍る2日間でした。
こちらは、2日目の様子。
完成したのは、タテ3.8m ヨコ3.3mの、西村さんをしてこの4年で最大というどデカいハート。最後の最後に、"たまに"のロゴを作って入れさせていただきました。
実はワークショップの前日西村さんに、「全体的なイメージはありますか?」と聞かれ、その瞬間の思いのままに、「キーワードとしては、"多様性"、"あたたかさ”、”ゆるやかさ"。ゆったりと、全体をあたたかな愛情で包み込みつつ、内側から外に向かって活動するエネルギーを感じさせられるものになったらうれしいです」とお伝えしていました。
さて、出来上がった作品は....、どうです?
当初目指していたイメージと重なる、けれどもそれを遥かに超えるものになっているように見えるのは、私の贔屓目かな。併設していた「たまにカフェ」も大盛況でした(無料だからそりゃそうなんですが笑)。
西村さんが、アート的観点からの素敵なポストをしてくださっていますので、リンクを貼っておきますね(西村さん、重ねてありがとうございます!)。
https://www.instagram.com/p/CWjnc4tPK5b/
https://www.facebook.com/koichi.nishimura/posts/5086720111357531
ワークショップ開催の経緯と意図
さて、ここからは少し視座を変えて、今回のイベントに込めた意図や活動を通じて得られた気づきについて、みなさんとご共有できればと思います。この場を借りて言語化を試みるような考察なので、あくまで佐竹の個人的な見解として受け止めていただけるとありがたいです。
"たまに"は、「気が向いたときに気が向いた人が、自分にとっても誰かにとってもちょっといいことをしやすくするしくみ」を増やすことをミッションとしているので、今回のようなめったにやることではない企画は例外的存在。けれども今回そうした企画を試みたのは、私たちのオフィス、ひいては私たちが、フィジカルに開いた存在であるというメッセージを、誰にでも分かる形でお伝えしたいという思いがありました。
そんな時に、パーソナルトレーナーでサポートにも入ってくれた野田貴志さんから教えていただいていた西村さんにご相談したところ、初回のお打ち合わせの場の中で、「人をつなげる組織として地域の人ともつながりたいと考えているのなら、外壁にハートを描く場自体も開いてしまってはどうですか?」とありがたいご提案いただき、それは渡りに船と、ワークショップの形式で制作をお願いすることとなったのでした。
今回のワークショップで気づいた、"たまに"が大切にしたいいくつかのこと
そんな経緯で始まった今回のマステアートワークショップ企画。
ギリギリの進行ながら、ウェブページやフライヤーを作り最低限の告知をすませて、「数人でも来てくれて一緒に楽しめたら、もう十分成功だな〜」という気持ちで当日を迎えました。結果的には冒頭ご紹介したとおり、多くの方が足を運んでくださり、あたたかで心躍る場と時間とを共有することができました。ここで、その中で得た気づきをいくつか整理してみたいと思います。
ご近所で気持ちよく遊べる場があれば、きっと人は集まり、つながっていく
奥まった場所にありながらも抜け道が近くにあるという我が家の立地が奏功していた面もありますが、たまたま通りかかってじっくり参加してくださった方や、1日目に参加したお友達に誘われて2日目に来てくださった方がとても多かった。そんな様子を見るにつけ、「ご近所で遊びたい欲求やニーズは少なくない」ことを実感することができました。
最もよく質問されたのが、「どうしてこんなことをやってるんですか?」という問い。それらの問いに、私たちのミッションやご近所さん同士のつながりを持つこと生み出すことへの思いをお伝えた時に、共感してくれる人が大勢いらしたのも印象的でした。
告知や看板、現場の様子等を見て足を運んでくださった方たちなのだから、なんとなくではあっても共感してくださっているのは当然といえば当然かもしれない。けれど、ご近所付き合いが活発とは言い難いこの地域で、ワークショップの場を楽しみ、「ご近所さん同士のつながり、本当に大事ですよね」と素朴に言ってくださる方たちが思いのほか多く、たくさんの勇気をいただくことができました。個人としても、ご近所に多くのつながりの芽を持つことができ、純粋にうれしかった。
"たまに"は、自分たちがやろうとしていることの重要性に確信を持つ一方で、持続可能な事業としてモデル化していく上では、顕在化していないニーズにアプローチしなければならない点、提供価値が貨幣経済と必ずしも相性が良くない点など、いくつかの難所を抱えながらの道のりになることを覚悟してはいるんですね。だからこそ、我が家の外壁でのささやかな試みに共感し喜んでくださる方がこれだけいらっしゃるという事実がありがたかったし、"たまに"の活動にもっともっと体重を乗っけて全身で楽しんでいきたいと改めて思わせてくれました。
等身大で愉しめば、人は自由になれる
「マスキングテープアートのワークショップ」という観点から見た時一番面白かったのは、参加された方たちの自由さでした。ここで、「自由になること」は、「夢中になれる」こととほとんど同義で使っています。まがりなりにも人の家の外壁に貼られるものなのに、参加された方はいい意味でそんなことお構いなしで、いい意味で全体のことなど考えず、いい意味で自分の手仕事に熱中して、それぞれの個性がこもった作品を残してくださったように─少なくとも私には─見えました。
私自身は、どういう結果でも受け入れるつもりでありながらも、どんな作品が出来上がるか内心ドキドキせずにはいられない状況だったんですね。大人しい作品に仕上がってほしくはないけど、隣近所の方たちが落ち着かないような作品になっても困るな、なんてことも考えてしまう。そんな私の葛藤などはそっちのけで、いらしたみなさんが周りなんか気にせず好き勝手に、心から楽しんで作品を作ってくださっているように見えて、そのこと自体が本当にうれしかった。
巨大な全体に比して自分が作るサイズがちょうどよくて明確で、道具立てが明確だけれどバリエーションがあり、明らかに正解なんてない。そこに、すべてを受けて立つプロフェッショナルがひとり、場を支えてくれている。だからこそ、誰でも心置きなく等身大で楽しめる。
今回のワークショップは、そんな条件が相まって、"たまに"プレゼンツの初ワークショップ企画としては奇跡のような実り多き時間になったのだと思っています。
今後に向けて
書いていると当日のことを思い出して名残惜しい気持ちなのですが、そろそろこの辺りで、締めくくりとして今後について整理しておきたいと思います。
まず、"たまに"としては、この外壁ハートづくりを年中行事化できたらいいなぁと考えています。なにせ素材がマスキングテープなので、継続的にアップデートできる。ある意味"まったりだらだら"と使える関係性構築のツールとして、このどデカいハートを活用していきたいな、と。
具体的には月に1日程度、お天気を見つつ日を決めて、フリーコーヒーの屋台を出して、その日たまたま時間があって立ち寄ってくださるみなさんと、少しのんびりとおしゃべりを楽しみながら手を動かせるといいなぁと思っています(季節によっては甘酒とかお汁粉とかホットワインとか...になるかもしれませんが笑)。
そして、来年11月くらいを目処に完全にリニューアルできたらいいな。そのときにはスポンサー企業も充実していて、運営費を賄いつつ輪を広げられたら最高に幸せ。
個人としては、2022年を本格的に家を開きはじめる年にしたいと考えているので、このどデカいハートを育て、逆にどーんと見守ってもらいながら、ご縁のあったみなさんと多様なシーンでこの場を共有、活用していければと思っています。お時間が合えば、ぜひ"たまに"の拠点に遊びにいらしてください。
場合によっては直前の告知になるかもしれませんが、LINEやINSTAGRAMでお知らせしますので、よろしければぜひ、まずはオンラインでつながっていただけたらうれしいです。
最後になりましたが、2022年がみなさんにとって健やかで恵みに満ちた年となりますよう心より祈りつつ...みんなでよい一年を作っていきましょう!
2022年も、よろしくお願いいたします!
文:佐竹麗