数十歩先のご近所さんとやっと出会えた──旅するたまにカフェ@山形県上山

2022年11月23日(水・祝)、山形県上山市にお住まいの佐竹京子さんが、息子の隆さんと一緒に、ご自宅前で“たまにカフェ”を開催しました。

勤労感謝の日のこの日、民生委員の方の声かけもあって、15名近いご近所さんが立ち寄ってくださいました。上新丁と下新丁──数十歩しか離れていないのに、長年ほとんど交流のなかった二つの町会のご近所さんたちが、小さな屋台のカフェをきっかけにつながった3時間の様子をレポートします。

▼旅するたまにカフェとは
https://tamani.or.jp/solutions/travelingtamanicafe/

一体誰か来るのかしら?と、ちょっと不安だった

2022年7月にご主人を亡くされ、コロナ禍で周囲との行き来もさらに遠のいていた京子さん。「立ち尽くしていた」というその時期に、息子の隆さんが「一緒に屋台を出してカフェをやろう」と声をかけてくれたのがきっかけでした。

「こんな人通りのない場所で、一体誰か来るのかしら」──そうちょっと不安に思いながらも、息子が言うならやってみようと、京子さんは一歩を踏み出しました。

椅子もお茶も持ち寄っての賑やかな時間にびっくり

そんな不安なスタートとは裏腹に、「こういう機会が大事なのよ、みんな家に閉じこもっているから」と、民生委員の方が近隣のみなさんに声をかけてくださったそう。そうした活動が奏功してか、当日は思いがけずたくさんの方が集まりました。

途中から雨が降り出して駐車場の中へ移動する一幕もありましたが、みなさんが自宅から椅子やお茶を持ち寄ってくださり賑やかなひとときに。昔あったお店や川が氾濫したときの話など、地域の共通の話題は尽きることなく広がっていきます。「通りには誰もいないけど、家の中にはこんなに人がいたんだって、びっくりしちゃったの」と京子さんは笑います。

交流が途絶えた町会の垣根を越えて

京子さんのお住まいは上新丁。すぐ隣の下新丁とは歴史的になぜか長い間「顔は知っているけれど、それ以上のことはわからない」関係だったそう。たまにカフェをきっかけに、下新丁で開かれている「100歳体操」の存在を知り、早速通ってみることに。「本当に数十歩の距離なのに、それまで全然知らなかったのよねぇ!」。

共同店主の隆さんは「ひとり暮らしになって心配していたけど、母がこういう人たちに囲まれて暮らしているってことが確認できて、息子としては安心する感じがあった」と振り返ります。

“たまに”よりひとこと

誰かが小さな一歩踏み出すことで、心の中や歴史に宿していた壁を溶かすことができる。京子さんと隆さんの旅するたまにカフェは、そんな可能性を教えてくれました。

ご高齢のみなさんが地域の中心になった時、たまにカフェがどんな風に交流を促すことができるのか。今回の事例は私たちにとって、そんな未来を見据えたパイロットテストにもなりました。

ご高齢の方が、ほんの時々でいいから地域のみなさんにきっかけを作る立役者になれる。そんな機会をできるだけ負担軽く作り出せるよう、たまにはこれからも模索し続けていきたいと思います。

京子さん、隆さん、そして立ち寄ってくださった地域のみなさん、本当にありがとうございました!

開催概要

  • 日時:2022年11月23日(水・祝)12:00〜15:00
  • 場所:京子さんのご自宅前(山形県上山市)
  • 店主:京子さん、隆さん
  • 来場者数:約15名

文:佐竹 麗