私たちが大切にしている思考法である「システム思考」。そして、システム思考の代表的ツールである「因果ループ図」。この記事では、これらの概要について簡単に解説します。
システム思考とは
システム思考(System Thinking)は、対象をシステムと捉えて分析する思考技法であり、”構造”から変える問題解決のアプローチ[1](図1)。 「望ましい目的を達成できるように、要素間の相互のつながりを理解する能力」とも定義され[2]、MIT教授Jay Forresterが1950年代に創始した、System Dynamicsという学問分野に由来しています[3]。
因果ループ図(Causal Loop Diagram: CLD)とは
CLDは、システム思考で用いられるツールのひとつ。システムや構造を変数という要素に分解して捉え、変数間の因果関係を分析し、結果を可視化します。
- 右図のA、Bは「変数」
- →の向きは時間の流れ(原因と結果の関係)
- SはAとBが同じ方向性で変化する場合
- OはAとBが逆の方向性で変化する場合
CLDでは、変数と変数を矢印でつないでいくことで、システムの構造を明示的に導き出します。
起こりがちなパターンをストーリーとして構造的に捉えられる雄弁なツールであり、複数の要素が複雑に絡み合うシステムを改善する際に、全体像を掴みながら介入するポイントや介入方法を検討する上で有効な分析手法です。
因果ループ図は一見シンプルな記述法ですが、実はとても雄弁。2022年2月にリリースした「子どもを産み育てる社会構造に関する調査分析レポート」をはじめ、今後公開するプロジェクト等でも活躍する予定です。
より詳細にお知りになりたい方は、ぜひ下記の書籍を読んでみてください!
文:佐竹麗
●脚注●
[1]湊 宣明 「実践システム・シンキング : 論理思考を超える問題解決のスキル」, 2016, 講談社, 東京.
[2]デイヴィッド・ピーター・ストロー,小田理一郎. 社会変革のためのシステム思考実践ガイド共に解決策を見出し、コレクティブ・インパクトを創造する (Japanese Edition) (p. 50).
[3]System Dynamicsは、対象となるシステムを変数という構成要素に分解し、変数間の因果関係を連立微分方程式により定義し、コンピュータを用いたシミュレーションによりそのシステムの動的な振る舞いを時系列で観察する技術。